にほんご雑記帳 ちょっと気になる日本語について、気まま思いのままに書きつづる雑記帳。

「笑味(かざはな)」

つまらない物ですが、どうぞご笑味ください。

笑味、「しょうみ」と読みます。意味は「漫才の醍醐味」ではなく「思わず笑顔になるほどの美味しさ」でもありません。ましてや「笑茸を味わう」でもありません。辞書によると『人に食べ物を贈るときの謙譲語』とあります。粗末な品ですがお笑い草にひとつ召し上がってください、という謙遜の気持ちが込められているんですね。

食べ物を贈るとき、人は贈る相手のことをいろいろと想って選んでいる。あの人は甘い物が好きだとか、歯が悪いからやわらかい物をとか、最近忙しそうだから精のつく物をとか。思い悩み、時間をかけて選んだ物に相手への気持ちを託している。その精一杯の贈物を「笑い草にしてください」というのです。「笑味」という言葉には喜んでいただけるだろうかという、贈る人の不安と期待が隠し味として含まれているのではないでしょうか。それに気づかれないように、あえて自分を笑い者にする。そこにおおらかで深い味わいを感じるのです。

ちなみに「賞味」という言葉は『おいしく味わう』という意味なので贈る人が「つまらない物ですがご賞味ください」というのは避けた方がいいでしょう。ここはやはり「笑味」ですね。

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